熱帯の静寂
The Kaisaniemi Botanic Garden(カイサニエミ植物園)と Winter Garden(ウィンターガーデン)は、1年中オープンしているヘルシンキのオアシスです。カイサニエミの温室では800種以上、外の庭ではさらに2800種の植物が育ちます。この植物園の庭は1763年から、パームハウスは1888年からあるものです。静かに座って熱帯の湿度を楽しむのに完璧な場所です。
文学の静寂
図書館とはとにかく静かにすべきところです。シティーセンターには National Library of Finland(フィンランド国立図書館)や University of Helsinki Library(ヘルシンキ大学図書館)などがあります。大学図書館は Kaisa House(カイサハウス)の中にあり、ヘルシンキの街を上から見下ろすことができます。エトゥトーロ地区にある Arkadia International Bookshop(アルカディア・インターナショナルブックショップ)ではすばらしいセレクションの古本を取り扱っていて、物思いにふけることもできる落ち着いた雰囲気を醸し出しています。ありきたりな表現に聞こえるかもしれませんが、カーペット、ソファ、ピアノ、初版の本が並んだ本棚、コーヒーなどが置いてある店内はまさにリビングルームのような場所です。文学について誰かと話すことには興味がなく自分の考えは自分の内にとどめておきたい人も、文化人が集まることで有名なこのお店のイベントプログラムをチェックしてみましょう。
家庭的な静寂
トーロ地区に住んでいなくても、そこに住んでいる人を訪ねていくことはできます。Dr Juhani Kirpiläの家にはフィンランドアートがたくさんあり、彼が亡くなってからは美術館として一般に公開されています。The Kirpilä Art Home(キルピラ・アートホーム)では、コンサート、アートに関するディスカッションや奇妙なプレゼンテーションも行われています。水曜日か日曜日に行けば、静寂に浸れます。
聖なる静寂
教会、礼拝堂、聖堂はやすらぎの場所であり、うれしいことにヘルシンキの中心にあります。花こう岩の基板を切り出し、天井を巨大な銅で覆った Temppeliaukio “Rock Church”(テンッペリアウキオの岩の教会)は、とりわけ人々の心を引きつけます。最近は観光客にとても人気があり、残念ですがやすらぎと静寂が感じられる場所とは言えません。しかし近くのカンピまで少し歩けば、その名の通り Chapel of Silence(静寂のチャペル)があります。ちょっと違った静寂を体験したいならその隣の Ilves Bar(イルヴェス・バー)に行ってみましょう。バーですが音楽はかかっていません!
森の静寂
完全に静寂な場所でなくても、緑あふれる場所では心が落ち着きます。セントラル・パーク(Keskuspuisto)などの自然のある場所を歩いていると、本当にやすらいだ気分になれます。Seurasaari(セウラサーリ)の島を回る遊歩道、あるいは Lammassaari(ランマスサーリ)までの踏み板の上を歩いている間は、動物や鳥がお供です。地下鉄で通勤する人の国立公園 Uutela(ウーテラ)では、コケで覆われた岩や古代の木、海の眺めから静寂を感じることができるでしょう。
群島の静寂
小さな島Sisä-Hattu(シサハットゥ)まで行くのは簡単です。水着を着て、フィンランド湾を歩いてわたりましょう。Lauttasaari(ラウッタサーリ)の南端にあるほんとうに小さな小島までは、干潮のときにしか現れない道を歩くしかありません。通り過ぎていくモーターボートやカモメの鳴き声、気温の低さをものともしないスイマーたちの立てる音が聞こえてきます。島には、古代の彫刻やシンボルがあります。潮が満ちてきたら、水の中を歩いて渡って帰るしかなくなります。島に行くのに言葉を発する必要はありませんが、乾いた靴下は用意しておきましょう。
宇宙の静寂
宇宙ほどやすらぐ場所はありません。Kaivopuisto park(カイヴォプイスト公園)の一番高い場所にある天文台は、Ursa Astronomical Association が1926年に建てたものです。Urasa(ウルサ)が天文台で開催する一般向けのイベントでは、夏には太陽、冬には星を観望することができます。天文台の中は暗く、望遠鏡を使うときにはほんとうに真っ暗になります。一般向けのイベントは、雲がなく気温が-15℃以上の時に開催されます。観望のできないお天気でも、空を見たいなら天文台の丘 (Tähtitorninmäki)に行ってみましょう。ヘルシンキ天文台は、有名な建築家 C. L. Engel(C.L.エンゲル)が W. A. Argelander 教授とともに設計し、1834年に完成しました。当時この天文台は、世界で一番近代的な天文学研究機関の一つでした。現在この建物には Helsinki University Museum(ヘルシンキ大学博物館)があり、展示で静かに宇宙の素晴らしさを学ぶことができます。
彫刻の静寂
Aleksis Kivi(アレクシス・キヴィ)がうなずくようにしながらも自分のことをじっと見つめているような気がするかもしれません。そんなふうに感じる場所がフィンランドで一番美しいアートの楽しめる場所 Villa Gyllenberg です。伝説的なフィンランド人作家の胸像は巨大です。ヴィラの裏には、作曲家 Jean Sibelius(ジャン・シベリウス)の像もあります。銀行家のAne Gyllenberg が1938年に建てた海辺の家は、現在フィンランドアートを展示する印象深い美術館となっています。Gyllenberg コレクションには Helene Schjerfbeck(ヘレン・シャルフベック)、Akseli Gallen-Kallela(アクセリ・ガッレン=カッレラ)、Albert Edelfelt(アルベルト・エデルフェルト)、Hugo Simberg(ヒューゴ・シンベリ)など、偉大な芸術家の作品があります。
高い場所で感じる静寂
のんびりした雰囲気の Puu-Käpylä(プーキャピュラ)地区が見渡せる Taivaskallio(タイヴァスカッリオ)は、ヘルシンキで一番高い場所の一つです。「天国の岩」の上から、街の中心までの美しい風景が見渡せます。第二次世界大戦で岩の上に設置されていた対空砲台の砲座は今でも残っています。今日では静かな公園になっていて、車の音すら聞こえません。本とブランケットを持ってピクニックの用意をして小さな池のそばで過ごす時間を楽しみましょう。